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たこつぼ心筋症とは

「心筋症」というのは、何らかの原因(あるいは原因不明のこともあります)で心臓の筋肉の働きが悪くなった状態を示します。

そのタイプによって、拡張型、肥大型、拘束型と大きく3種類に分類することができます。それ以外にも様々な心筋症は存在します。

その中で、たこつぼ心筋症は日本で発見された特異な心筋症で、近年話題を集めています。たこつぼはご存じのように猟師が海で取れたタコを収納する日本古来の容器で、図1のような形をしています。

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図1.蛸壷

今までなんともなかった元気な人が急に胸の痛み、息苦しさなどを訴えて病院に運ばれてこの病気が見つかることがあります。特徴的なのは多くの場合、痛み・悲しみ・手術・サプライズなど引き金があることです。

心電図では急性心筋梗塞に似た変化を起こし、しばしば間違えられることがあります。図2は左室造影検査という心臓カテーテル検査で造影剤を左心室に入れてその動きをとらえる検査ですが、下の写真のようにたこつぼに似た形を示すのが特徴です。

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拡張期

収縮期

図2.たこつぼ心筋症の左室造影像

CCUネットワーク事業では2010年よりたこつぼ心筋症の患者さんの情報収集に着手し、2012年までの3年間で368人の患者さんがいることを確認しています。この病気は女性に圧倒的に多いのですが、男性の方が重症化しやすいことなどがわかっています。通常は跡形なく治りますが、まれに再発することもあります。時に重症の経過を辿ることもありますので、思い当たる症状が出た場合は、遅れることなく救急要請していただくようお願いします。

文責)CCUネットワーク学術委員会・たこつぼ心筋症研究班班長

   吉川勉(榊原記念病院・副院長)

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